僕はここ1年ばかりタミヤのスプレーワークHGワイドを愛用しています。
僕が0.5㎜ノズルのエアブラシを購入するに至ったのはエアブラシでサーフェイサーを吹きたかったことと広い面積をもっと均一な塗膜で綺麗に塗装したかったから。
そして30㎝前後と比較的大型の怪獣キットをよく作っているので作業効率を上げるためでもありました。
怪獣の塗装はともかく、実際多くの方がサフ吹き用だとか広範囲の塗装に使われてるみたいですね。
今回ご紹介するスプレーワークHGの要点をざっとまとめると以下のとおりです。
・実は太吹き専用にあらず。ノズル径0・3㎜程度の細吹きは可能
・エアの射出がトリガーを「引く」だけのタイプで疲れにくい。
・大容量の塗料カップのため塗料の希釈、補充といった作業の回数を減らせる。
・大口径なのでサーフェイサーを吹いても詰まりづらい(詰まらないわけではない)。
・瓶サフを希釈して使えるので缶サフよりも経済的。また、缶サフの缶ゴミが出ない。
プラモデルの塗装をする時にノズル径が0.5㎜のエアブラシを使う人ってあんまり多くないようです。
少なくとも僕の周りではね。
日本の住宅事情などからあまり大きな模型は部屋に置けない→広範囲な塗装が必要なキットは作れない、てところも関係しているかもしれません。
もう一つ、近年のガンプラは1/144サイズでも非常に良く出来ています
1/100サイズでなくともギミックも豊富だしそれなら確かに20㎝あるかないかのサイズのキットに0.5㎜径のエアブラシをわざわざ使う必要もないでしょう。
でも!でもですよ!
スプレーワークHGワイドは太吹きも出来る0・3㎜ノズルハンドピース、みたいな汎用性があるハンドピースなんです!
太吹き専用にしておくのはあまりに勿体無い!
てことでこの記事ではスプレーワークHGワイド、さらには0・5㎜径のハンドピースてどんな塗装が出来るのかってのを詳しく解説していきたいと思います。
目次
スプレーワークHG エアーブラシ ワイド(トリガータイプ)
トリガータイプのメリット
僕としては実際に使ってみた最大のメリットは広範囲の塗装が出来ることよりもむしろこのトリガータイプという点でした。
手で握ってそのまま人差し指だけトリガーに引っ掛ける。
理に適った自然な動作だと思うんです。
だからこのトリガータイプってのは「慣れる」までの時間がほとんどかかりません。
僕は初めてのハンドピースがダブルアクションタイプのクレオス「プロコンBOY」でした。
ハンドピースをペンを握るように持ってから人差し指でスイッチを「押して」「引く」。
これを長時間、または連続でシュッシュッて吹くのって慣れてても結構キツイんです。
しかも僕は怪獣とか大型のものを作るので尚更。
一般的なハンドピースて人差し指が上にきてそこからさらに引く「そのためだけ」の握り方になるので慣れるまでそれなりに時間がかかります。
塗料を吹く動作の負担が少なくなればそれだけ塗装作業に集中できるというもの。
この点は初心者さんほど有利ではないでしょうか。
ダブルアクションのハンドピースから乗り換えてみて僕はしみじみそう思いました笑
ちょっと写真ではわかりづらいですがクレオスの2本挿しタイプのハンドピーススタンドにはスプレーワークHGワイドはきちんと収まりません!
一応スタンド内に入りはするんですけど遊びが大きくてかなり不安定。
僕は長らくこのまま使っちゃってますけど転倒させるのが怖ければ別途スタンドを用意した方がいいでしょう。
メーカーの説明ではニードル保持部分にフッ素樹脂製パッキング材を使用しているためトリガー部分への塗料の逆流がほとんどないないとのこと。
フッ素樹脂製パッキングがなぜ逆流を防ぐのか分かりませんが(汗)。
僕は塗料が逆流しないようハンドピースを上に向けて吹かないように気をつけてはいますが少なくとも1年使って塗料が逆流したことは1度もありませんでした。
実際0・5㎜てどのくらいの範囲を塗れるの?
使ったことないと0・5㎜ノズルのハンドピースがどの程度太吹きになるかピンとこないですよね。
そこで0・3㎜ノズルのHANSA「381」とスプレーワークHGワイドをそれぞれ比較してみました。
上 スプレーワークHGワイド
下 HANSA「381」
0・3㎜径のハンドピースで0・5㎜径のハンドピースのような広範囲の塗装はもちろん物理的に無理です。
0・5㎜径だとエア圧と希釈を上手く調整すれば0・3㎜程度の細吹きもそこそこいけます。
スプレーワークHGワイドを購入、または検討してる方って「太吹きでの使い方」だけを想定してるんじゃないかなと思います。
よっぽど細吹きしたいっていうんでなければほとんどの塗装はスプレーワークHGだけで事足りちゃうんですよね。
僕の場合これは嬉しいメリットでした。
・これまでのような塗装をやりつつ太吹きやサフ吹きも出来る
・1本で済ませられるからハンドピースの交換をわざわざしなくて済む!
・めんどくさい分解掃除の後片付けも1回で済む!
元々使っているハンドピースが0・3㎜の方は本当にこれ1本で事足りてしまいますね。
割り切ってサフ吹きだけとか、サフ吹いた後にクリア塗装したくないって言うのなら別ですが僕はとにかく何本も掃除と片付けするのがめんどくさくてしょうがないんです!
だから僕は今ではこれ1本で塗装全般こなしちゃってます!
15cc 大型塗料カップ
太吹きを想定して作られたハンドピースだけあって付属のカップも大容量です。
15ccもあるんですね!
でも15ccなんて聞いてもピンときません(汗)。
僕の所有している他の2本ハンドピースと比較してみましょう。
・スプレーワークHG 15cc
・プロコンBOY 10cc
・HANSA「381」 5cc
HANSAは模型用としてはちょっとマニアックなハンドピースですがクレオスのプロコンは使っている方も多いでしょう。定番のハンドピースですね。
(僕のプロコン。パーツを紛失してしまい不完全な有様ですが悪しからず)
例えばプロコンの場合、1/100サイズのガンプラ全高が20㎝ほどのものを均一な塗膜で塗るのであればカップ10ccあれば1体とちょっとてとこでしょうか。
スプレーワークHGの場合、塗料カップが15ccもあると1/100サイズなら3体から4体はいけるでしょう。
(この後のサフ吹きの項で詳しく解説してます)
スプレーワークHGは太吹き出来るので0.3㎜のものよりハンドピースの往復が少なく済みます。
となると吹いた塗料が交錯する部分が減るので10ccから15ccで1.5倍吹けるというわけではなく実際はもうちょっと効率的に塗装できてると思います。
さらに大容量カップのメリットとして塗料の希釈、補充の回数が少なく済無ことが挙げられます。
キットを塗装していて塗料の残りが少なくなってきてハラハラした経験誰にでもあると思います。
僕はいい加減な人間なんで希釈て場当たり的に調整してるんですがそうなると塗料を補充する度に濃度が少しづつ変わってる。
そうなるとその都度吹き方も変わってくるんですね。
だから希釈、補充はなるべく少ない回数で済ませたいんですよ!
塗料カップが大容量だと塗料の残りを心配するリスクが減らすことが出来ます。
カップの取り外しが出来る
本体からカップを取り外すことができるので掃除がラクチン♪
カップのそこに溜まった塗料て実に鬱陶しいですよね。
カップを取り外すことでカップの底側から中に溜まった塗料の掃除が簡単に出来ます。
ただこの後のメンテナンスの頁でも触れますが、取り外せるということは接続部分に塗料が染み込んでしまうリスクもあるということ。
特にこのネジの溝に塗料が入り込んでしまうんですね。
きちんとカップがハンドピース本体に接続されているか確認してから塗料を入れましょう。
スプレーワークHGワイドでサーフェイサーを吹いてみる
この頁ではサーフェイサーの塗装を通してスプレーワークHGワイドの使い方について解説していきます。
・15ccの塗料カップでガンプラ何体くらい塗装できるのか
・太吹きだと1体どれくらい時間かかるのか
こうした点もふまえて解説するので通常の塗装の参考にもなるかと思います。
・塗装するキット 1/100MG「陸戦型ガンダム」(2体)
はじめに簡単に僕の塗装環境についてご紹介しておきますね。
・部屋 実家戸建て 6畳
・塗装ブース 36ブース
・コンプレッサー クレオス MR.リニアコンプレッサー L5
こんな環境で塗装に勤しんでおります。
それではいってみましょー!
サフはMr.サーフェイサーの瓶サフです。
僕はエアブラシでサフ吹きする場合、空き瓶に瓶サフと薄め液を入れてこの中で直接希釈しています。
大容量の塗料カップだと希釈するお皿も大容量になってしまうのです苦笑。
余ればそのまま瓶に戻せばいいだけだしね。
素組みまで終えたMG陸戦型ガンダム。
500番の瓶サフを吹いてヒケや傷を埋めた後、ペーパーがけをする予定。
頭は繊細なモールドのためサフは吹かないので取り外してあります。
僕はエアブラシでサフを吹く時は大体以下のような調整で行います。
・エア圧 強(というかL5での最大)
・サフ濃度 薄め液3:サフ1
サーフェイサーは塗膜の形成とその後の塗料の食いつきを良くするために塗料と比べて「粘り」と「粒子が荒い」のが特徴です。
そのため着色用の塗料よりもノズルが詰まりやすい。
だから詰まりづらい太めの0・5㎜径ノズルがいいと言われるのですね。
塗料でも同じことが言えるんですが希釈が薄すぎる分にはリカバリーは簡単なんですよ。
薄すぎたら塗料少しづつ足していけばいいんですからね。
ただノズルが詰まってしまうとハンドピース分解して洗浄しなくちゃならない。
非常にめんどくさいんですね。
だからノズル詰まらせることだけは避けたい。
ちなみに僕は通常の塗料を希釈する場合は
薄め液2:塗料1
でやっています。
ここでエアブラシでサフを吹く時の注意点が1つ。
サフを薄め液で薄めすぎると塗料の食いつき効果まで薄めてしまいます。
だから程々の希釈が望ましいのですがそうなると今度はノズルが詰まりやすくなってしまいます。
対策としては
・エア圧を出来るだけ強くする。
・サフを吹いているときはトリガーをめいいっぱい引いてノズル全開で吹く。
エア圧強、ノズル全開で吹く場合、ハンドピースを急いで動かさないとキットにサフが溜まり過ぎて厚ぼったい塗膜になってしまいます。
だから僕はエアブラシでサフを吹くときは微調整できる缶スプレーみたいな意識で吹いてますね。
カップにはこのくらい溶いたサフを入れました。
本当ならもっと入るんですが塗料をカップめいいっぱい入れた状態から「うがい」するとカップの蓋にある穴から塗料がブクブク飛び出してきます。
あまり欲張らないでいきましょう。
捨てサフなので多少のムラは気にせずドバドバいきましたよ。
500番ともなると流石に表面にざらつきが見て取れます。
2体のガンダムを乾燥時間を加味して上半身、下半身、裏、表と交互に塗装。
その後乾燥機へ。
塗膜はそこそこ大雑把にやって最終的にかかった塗装時間は約30分てところでした。
形にもよりますがスプレーワークHGワイドで20㎝ほどのキットを同色で丁寧に塗装するとなると大体30分くらいでしょうか。
カップの中のサフを見てみましょう。
1/100ガンダム2体で約半分消費といったところでしょうか。
今回のサフ吹きは結構大雑把にやったのでもう少し丁寧に塗装したのであれば2/3くらいの消費かな。
塗料カップ15ccもあればガンプラ2〜3体塗装するには十分な量です。
一度に3体も塗装するかは別として笑。
メンテナンス
メンテナンスは一般的な模型用ハンドピースとそう変わりません。
注意点といえばスプレーワークHGは塗料カップが取り外せるので掃除しやすい反面、カップ接続部分のネジに塗料が染み込みやすいことでしょうか。
つい忘れがちなのでしっかり洗っておきましょう。
では順を追って解説していきます。
塗装終了後。
この段階でティッシュや綿棒などでカップ底の塗料を出来るだけ拭き取っておくとこの後の「うがい」の回数をかなり減らすことが出来ます。
ハンドピース内の塗料を洗い出すため「うがい」をします。
カップに薄め液を入れて、タオルやティッシュ何でもいいですが柔らかいもので先端を塞いでエアを逆流させます。
その際先端から出てるニードルを曲げないよう注意しましょう。
「うがい」をするとハンドピース内に溜まった塗料がカップ内に逆流してくるので薄め液と一緒に捨てます。
この作業をカップ内の薄め液が汚れなくなるまで繰り返します。
薄め液をつけた綿棒でカップの底からハンドピース内までこびり着いた塗料を取っていきます。
スプレーワークHGはカップを取り外せる代わりにこういった接合面に塗料が入り込みやすいのが難点ですね。
よく見るとネジの溝に先ほど吹いたサフが入り込んでいます。
これも薄め液を着けたティッシュや綿棒でしっかり落としておきましょう。
ハンドピース先端にはノズルカバー(中段)とニードルカバー(上段)がついているのでこれも外します。
ハンドピースの肝、ノズルを付属のレンチを使って外します。
とても小さく繊細なパーツなので紛失、破損に注意!
写真ではニードル入ってますけど先にニードル抜いてからの方が無難です。
外したパーツは薄め液を入れた小皿に移して付着した塗料を落とします。
しつこい塗料は綿棒でゴシゴシ。
特にノズルカバーは奥まったところに塗料が残りやすいので忘れずに。
ハンドピース後部のバランサーを外します。
次にニードルストップネジを外してニードルを抜き出しましょう。
ニードル先端は塗料がたくさんついているので薄め液をつけたティッシュやタオルで拭き落とします。
ハンドピースの先端パーツをつけておいた小皿にカップの蓋を入れてこちらも塗料を落とします。
本体もしっかり塗料を落としていきます。
最後に分解したパーツを組み立てて掃除終わり!
僕は念のためちょっとだけ薄め液をカップに入れてきちんと動作するか一吹き確認しています。
まとめ
0・2㎜ノズルでしか出来ないような細吹きを求めるのでない限り、大抵の塗装はスプレーワークHGワイド1本で良い塗装が出来ます。
0・5㎜ノズルのハンドピースというより太吹きも出来る0・3㎜ノズルハンドピースという感触。
それくらい汎用性があるハンドピースってことです。
太吹きする機会がない方でもこの記事を読んでスプレーワークHGに興味を持って頂けたらと思います。